株式会社ウェックス 様
話し合いを重ねて見つかった本当の業務改善点。
クライアント様の基本データ
ご相談内容
これまで案件や工事依頼をいただいたらホワイトボードに書き、終わったら消すという方法をとっていました。
- 書き忘れ
- 間違って消してしまう
- 消し忘れ
- 充分に情報を書ききれない
といった問題点があり、設備の設置や点検・申請書の確認など多岐にわたる防災の仕事においては限界を感じていたとのこと。
そのほか、
- 日報から作業報告書への転記(2重入力)
- スケジュール・案件・受発注管理のExcelとアナログの混在
- 会社に来ないと得られない情報がある
といった課題もあり、理想としている労働環境の実現ができていない状況との相談をいただきました。
相談内容から見えた課題と、解決への道
おおばこオフィスでは、ヒアリングで出てきたキーワードに着目し「キーワード+課題」をベースに整理していきます。
課題の整理
ヒアリングの結果、
-
行っている業務ごとの課題
-
業務を問わず関係する課題
の2種類のパターンがあることが分かってきました。
まずは、ホワイトボードで進捗や案件を管理という業務に向けて課題を整理します。
- 書き忘れ→作業もれ、対応漏れ
- 書ききれない→作業漏れ、対応漏れ、誰が担当者なのか。
- 間違って消した→作業漏れ、対応漏れ
- 消し忘れ→対応が完了しているのか、継続しているのか
- 会社に来ないと進捗状況がわからない。→外出先から状況が分からない
上記のような課題とキーワードが出てきました。
複数の課題がありますがひとつずつ解決につながる方法を検討します。
全てを一気に解決ではなく、課題ごと、キーワードごと、目的ごとなどに切り出して考えていきます。
中長期的には業務自体の変化や改善の要望に加え、世の中の変化といったことにも対応していく必要がありますので
・初期に大きな投資はしない。(後で引き返せない、修正・変更に時間がかかる)
・完璧な設計を追い求めない。(始められない、始めるまでに時間がかかる)
を念頭に始めていきます。
一つ目の課題解決に向けた、検討と実施
- 書き忘れ→一覧で情報が把握し、誰かが気付けるように
- 書ききれない→項目をある程度自由にレイアウト
- 間違って消した→データ履歴管理機能
- 消し忘れ→完了かどうか一目でわかりやすい
- 会社に来ないとわからない→クラウドサービスを検討
上記の課題と解決案を並べて検討した結果、「Googleスプレッドシート」が最適と判断しました。
課題の大半が標準機能で対応できることに加え、変化に柔軟に対応できることや初期費用がかからない(安価)であることを導入の決め手としました。
Excelを利用していれば、比較的利用しやすいという点もポイントとしています。
一方、あくまで表計算ソフトである「Googleスプレッドシート」では情報が多くなるにつれ、
- ・ファイルやシートが増え管理がしづらい
- ・処理速度が遅くなる
といった問題が起こりがちです。
今回はデジタル化やクラウドサービスの利便性などを実感してもらう「一歩目」としての採用としました。
実施して見えてきたこと
利用者の意見を取り入れ、目的や環境に合わせて柔軟な改善を繰り返していかないと、社内への浸透がなかなか進まないことがあります。
Googleスプレッドシートでは、既存の情報をまとめたあと、
- 書式設定により見た目で情報が把握しやすくする
- 数式で経過日数や進捗をパーセント表示して把握しやすくする
- 入力した日程をGoogleカレンダーへ定期出力し、カレンダーで管理しやすくする
といった管理・利用しやすい方向へ、定例の打ち合わせやチャットツールでのやり取りを経て日々改善を繰り返していき、少しずつ使いやすく利用しやすいものへと変化していく重要性を感じました。
導入したら終わり。
ではなく、毎月の1回の訪問やチャットツールを使ったコミュニケーションを通して、提案や改善要望を検討し反映しています。
2020年7月からはkintoneというサービスを利用開始し、さらなる変化を遂げています。
使用ツール
Googleスプレッドシート/Googleカレンダー/Google Apps Script
課題の整理
課題1では、ヒアリングをもとにすぐに始められる「Googleスプレッドシート」を利用してホワイトボードからの脱却を進めました。
一方で、コミュニケーションをとりながら次の課題・改善案を進めていくなかで、
- 次回点検日予定情報
- 担当者別の案件情報の管理
- 過去履歴・情報の参照
- 見積作成の俗人化
- 日報情報と報告書の2重入力
といった複数の課題・改善点も見えてきました。
今回の課題で見えてきたのは、情報と情報の連携です。
業務内容ごと、取引先ごと、担当者ごと、時間軸などいろいろな角度で情報が把握できる状態が必要、ということが分かってきました。
ふたつ目の課題解決に向けた、検討と実施
このような改善点を網羅的に解決するには、Googleスプレッドシートのような表計算ソフトではなく、情報を蓄積、参照が可能で、個々の情報を関連付けすることができるデータベース形式の仕組みが必要です。
更に、今後も改善・拡張しつづけることができるシステムとして、kintoneというクラウドサービスを採用する方向で進めました。
kintoneは利用者が比較的自由に項目や内容を設計できる、サイボウズ社が提供するクラウドサービスです。
今回は、以下のような一見バラバラに見える機能を「アプリ」という単位でkintone内に一つずつ作成していきました。
- 作成したアプリの例
- 点検管理アプリ
- 案件管理アプリ
- 見積作成アプリ
- 日報入力アプリ
kintoneにて設計した「点検管理アプリ」の一覧画面。担当者や進捗率、点検日程などを一覧管理することで、全体の状況を把握しやすくしています。
kintoneの標準機能のみで設計出来るものもあれば、利便性を考え外部のサービス(kintoneではプラグインと呼びます)を利用したものもあります。
kintoneのプラグインは200種類以上にもおよび、その中から機能にマッチするものを選定し、費用面も考慮しながら選定していく工程をユーザ様と一緒に進めます。
標準機能でできること・できないことの説明も行い、理解違いをなくし、無駄のない構成を検討することも重要になります。
実践して見えてきたこと
「Googleスプレッドシート」上の案件に関する情報やExcelで管理されていた物件情報は、このタイミングでkintoneへのデータの移行を行いました。
はじめに「Googleスプレッドシート」を選択しておいたことで、社内情報の一元化の足掛かりになりました。
はじめから「kintone」を選択していた場合、
- 設計
- 標準機能の確認
- 外部サービスの調査・選定
に加え
- 業務理解
- 現状ある情報のデジタル化や一本化
を並行して行う必要があり、目に見える改善を体験していただくまでに大きな時間が必要です。
今回は最初の課題で、個々の情報をデジタル化+クラウド化しある程度整理しながら、「業務理解」と「現在ある情報のデジタル化や一本化」を進め、次のステップで「kintone」を選択したことで改善を感じてもらいながら、大きな停滞期間なく進めることができました。
最初から一度にすべてのことを成し遂げようとせず、一つ一つを切り出していくことは業務改善に大切な要素だと改めて感じています。
使用ツール
kintone
総括
Googleスプレッドシート導入からkintone導入に至るまで、実際には約9か月かかっています。
その間、スプレッドシート導入後の改善を行い、さらにkintoneの導入の検討、新たな課題・業務の改善、さらには今後の展望をお聞きしながら、私たちの業務理解を少しずつ高め、一歩ずつ進めていきました。
最初に要件や設計を大きくし過ぎなかったことが、設計側・利用者側の負担を小さくし、改善を目の当たりしながら進めることが、今日の継続利用に至っていると感じています。
現在では社内の情報についての多くをkintone化することで、kintoneが社内情報共有基盤として欠かせないものになってきています。
現在も毎月のヒアリングやチャットツールを使ったコミュニケーションを通じて、日々機能の変化や拡張が行われており、
- 社内の予定の管理
- 請求管理
といった機能を追加し、使い勝手や課題の改善、新しい課題の解決につなげています。